「ものづくり補助金ってどんな制度なの?」
「うちはサービス業だけどものづくり補助金を受けられるの?」
「どうすれば確実に採択されるの?」
「感染症拡大対応で抑えておくべきポイントは?」

中小企業の経営者、また個人事業主が常に頭を悩ますのが資金調達です。資金調達には、銀行の融資・公庫の融資・助成金・補助金といろいろな方法があります。

そして、補助金の中でも「補助金の王様」と呼ばれる「ものづくり補助金」を活用しない手はありません。ものづくり補助金を活用して、どんな苦境が来ても吹き飛ばされない会社の地力をつけましょう。

中小企業の生き残りマーケティング戦略を支援する「デジマチェーン」が、ものづくり補助金の制度概要、そして申請の際の重要ポイントまで説明します。

事前着手の承認を含む感染病対策最新情報まで盛り込んだこの記事を読めば、中小企業がものづくり補助金を申請して採択されるまでに必要な情報だけをまるっと理解できます。

中小企業が使える鉄板資金調達方法である補助金・助成金・融資について完全解説した記事です。

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1.ものづくり補助金とは

ものづくり補助金は、主に中小企業が行う設備投資やソフトウエア開発などを支援する補助金です。

ものづくり補助金が、補助金の王様と呼ばれる理由は主に下記の3つです。

  • 補助金でカバーできる守備範囲の広さ
  • 補助金額の大きさ
  • 補助金額の大きさの割に手続きがシンプル

これから中小企業が直面する、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等に取り組む、中小企業・小規模事業者を支援します。

以下のフローに沿って、ものづくり補助金の概要を説明します。

  1. 対象者
  2. 対象事業
  3. 対象経費
  4. 補助金額・補助率
  5. 公募・申請期間
  6. 事業実施期間

それぞれのポイントを掘り下げて説明します。

ものづくり補助金の対象者

ものづくり補助金を受けられる事業者の要件は以下の2つです。

  1. 中小企業であること(個人事業主もOK)
  2. 電子申請のためのGビズIDプライムアカウントを取得している
  3. 認定支援機関の支援を受けている 2020年(令和元年度補正予算分)から不要になりました

名前には「ものづくり」とついていますが、製造業だけではなくサービス業でも申請が可能です。

上記2つの要件をもう少し詳しく説明します。

なお、新型感染症による影響を受けている事業者の特例要件があります。

#1.中小企業であること(個人事業主もOK)

ものづくり補助金を申請できる中小企業は、「資本金又は従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人であること」と規定されています。

今回も募集要項に「又は個人であること。 」という条項がありますので、個人事業主でも申請可能です。

実際に毎年、採択された事業の一定割合は個人事業主になっています。

業種 資本金 従業員数(常勤)
製造業、建設業、運輸業 3億円 300人
卸売業 1億円 100人
小売業 5,000万円 50人
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) 3億円 900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円 300人
旅館業 5,000万円 200人
その他サービス業 5,000万円 100人
その他の業種(上記以外) 3億円 300人

#2.電子申請のためのGビズIDプライムアカウントを取得している

ものづくり補助金の申請は、jGrantsという電子申請システムでのみ受け付けます。

2019年までのように、電子と郵送による申請の二本立てではありませんのでご注意ください。

jGrantsで補助金を申請するには、無料の「GビズIDプライム」アカウントの取得が事前に必要です。

エントリーアカウントでは補助金の申請はできませんのでご注意ください。

gBizIDでの申請操作のマニュアルは、3月24日(火)に公開予定です。

アカウントの取得には2週間程度必要なので、早めに利用登録を行っておきましょう。

取得したアカウントは、ものづくり補助金採択後の手続きや、他の補助金の申請にも活用できます。

#3.認定支援機関の支援を受けている 2020年(令和元年度補正予算分)から不要になりました

認定支援機関とは、中小企業の経営に関わる公的支援機関として国から認定された専門家や専門機関のことです。

例えば、金融機関、税理士、公認会計士や弁護士など、全国におよそ3万2千機関(2019年4月現在)が認定支援機関として認定されています。

ものづくり補助金の申請では、この認定支援機関と連携して新規事業を行うことが前提とされています。

認定支援機関は、中小企業庁ホームページに一覧が掲載されているので、お近くの認定支援機関を確認しておきましょう。

対象となる新規事業

ものづくり補助金の対象となる新規事業は、「革新的な製品・サービス開発」、または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等が対象です。

ものづくり補助金は景気対策としての側面を持つので、製造設備などにも適用でき、中小企業の資金調達のニーズに応える補助金となっています。

そして、以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に表明していなければなりません。

  • 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
    給与支給総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(俸給、給料、賃金、歳費及び賞与等は含み、福利厚生費や退職金は除く)をいいます。
  • 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
  • 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
    付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。

「賃上げ」「働き方改革」に関する要件は、2019年までは含まれていない今回の目玉キーワードと言えるでしょう。

上記要件については、新型感染症による影響を受けている事業者の特例要件があります

対象となる経費

ものづくり補助金で補助される経費の種類は、以下のように補助金の類型によって異なります

同一事業者での応募は、どれか1つの申請に限られ、採択後の途中変更はできません。

  1. 一般型
  2. グローバル展開型
  3. ビジネスモデル構築型
  4. 小規模型:設備投資を行う必要はない。補助金額は小さい。2020年(令和元年度補正予算分)から廃止されました

補助金対象の経費について、それぞれの類型に分けて説明します。

#1.一般型

「一般型」は、 必ず1つ以上単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要で以下の経費が対象です。

  • 機械装置
  • システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費

注目すべきは、機械装置・システム構築費で、3者以上の相⾒積もりを取得している場合には、中古設備の購入も対象になったことです。

また、専門家経費で、兼業・副業、フリーランス等の専⾨家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費も補助対象となりました。

#2.グローバル展開型

海外事業の拡大・強化等目的とした設備投資等が対象のグローバル展開型は、後日詳細が発表されます。

#3.ビジネスモデル構築型

ビジネスモデル構築・事業計画策定のための面的支援プログラムが対象のビジネスモデル構築型は、後日詳細が発表されます。

補助金額と補助率

ものづくり補助金の補助金額と補助率は以下のとおりです。

中小企業が設備投資に利用できる補助金として、かなり大きな補助金額であることが、ものづくり補助金が補助金の王様と呼ばれて、多くの企業に利用されている要因です。

補助金額 補助率
一般型  100万円~1,000円 中小企業者 1/2
小規模企業者・小規模事業者 2/3
グローバル展開型 後日公開される予定 後日公開される予定
ビジネスモデル構築型 後日公開される予定 後日公開される予定

※小規模企業者・小規模事業者とは、常勤従業員数が、製造業その他業種・宿泊業・娯楽業では20人以下、卸売業・小売業・サービス業では5人以下の会社・個人事業主を指します

公募・申請期間

令和元年度補正予算によるものづくり補助金の公募・申請期間は下記のとおりです。

今回より通年公募とされ、約3カ月おきに締切がセットされる予定です。

公募開始 申請開始 申請締切
一般型第1次 2020年3月10日(火)
17時
2020年3月26日(木)
17時
2020年3月31日(火)
17時
一般型第2次 2020年3月31日(火)
17時
2020年4月20日(月)
17時
2020年5月20日(水)
17時
一般型第3次 2020年8月頃予定
一般型第4次 2020年11月頃予定
一般型第5次 2021年2月頃予定
グローバル展開型 後日公開される予定
ビジネスモデル構築型 後日公開される予定

該当の新規事業を実施する期間

ものづくり補助金の事業実施期間は、交付決定日から10か月以内となっており、発注・納入・検収・支払等のすべての事業の手続きがこの期間内に完了しなければなりません。

2019年までは5カ月だったので、より余裕を持って事業を行えます。

採択通知 交付申請・決定 事業実施期間
申請締切から約1カ月程度 採択通知から1カ月程度 交付決定から10カ月

意外に多い失敗は、書類上の発注日付が交付決定前(事業実施機関開始前)になっていて補助金対象外になるというミスです。

自社の設備投資計画との整合性を事前に確認しておきましょう。

ただし、上記要件については、新型感染症による影響を受けている事業者の特例要件があります

2.ものづくり補助金審査の採択重要4ポイントと加点・減点基準

ものづくり補助金で申請を行う事業を決めて申請書類を作成する際は、以下の4つのアピールポイントを頭に入れておきましょう。

  1. 技術力アピール
  2. 事業化の効果アピール
  3. 国の政策との一致アピール
  4. 熱意と意気込みアピール

それぞれのポイントについて、加点・減点基準も含めて説明します。

技術力アピール

ものづくり補助金の対象事業は、以下の4点で自社で革新的な事業を実現できる技術力をアピールする必要があります。

  • 取組内容の⾰新性
  • 課題や⽬標の明確さ
  • 課題の解決⽅法の優位性
  • 技術的能⼒

といっても、単に自社での新規事業であるだけでは、ものづくり補助金事業に求められる「革新的」事業にはなりません。

革新的な事業とはどういう意味でしょうか?

#1.革新的事業とは?!

革新的であるためには、他社でも一般的ではない新サービスや新生産方式が求められます。

と言っても、あくまでも「一般的ではない」ということが問われていますから、前人未踏の事業である必要はありません。

少なくとも、同一商圏内で類似した商品の販売やサービスがない事業が、革新性があるとみなされる場合が多いです。

また、有効な経営⾰新計画の承認を取得した(または取得予定の)事業者は、革新的な技術力を持っているとして加点されます。

経営革新計画の取得方法についての記事を参考にしてください。

事業化の効果アピール

ものづくり補助金の対象事業は、以下の4点で事業化計画の妥当性・効果をアピールする必要があります。

  • 事業実施体制
  • 市場ニーズの有無
  • 事業化までのスケジュールの妥当性
  • 補助事業としての費⽤対効果

上記のポイントを分析するためには、自社・競合・市場の課題を明確にしましょう。

経営者としては、機械装置を安く買いたいので補助金が欲しい、というのが本音だと思います。

しかし、ものづくり補助金の申請では、その機械装置を購入したい理由を、現状の自社・競合・市場の課題と結びつけて設定する必要があります。

例えば、取引先から「〇〇の金型を、もっと軽量に、もっと高い精度で加工できないか?」と言われているとすれば、それはすばらしい課題のタネです。

市場が抱えている課題に対する解決策として「これこれの新設備が必要となる」と補助金申請につなげやすくなります。

国の政策との一致アピール

ものづくり補助金の対象事業は、以下の3点で国の政策とのマッチング度をアピールする必要があります。

  • 地域経済への波及効果
  • ニッチトップとなる潜在性
  • 環境配慮性

具体的には、以下のような加点・減点措置があります。

#1.ルーキー・小規模事業者優遇

過去3年以内に類似の補助金(ものづくり・商業・サービス補助金)を交付された事業者は審査にて減点措置を講じられ、初めて補助金申請される方が採択されやすくなっています。

また、⼩規模事業者、または創業・第⼆創業後5年以内の事業者には加点措置があります。

#2.重要キーワードは賃上げ・働き方改革加点・優遇

今回の重要キーワードである「賃上げ」については、以下の2点を両方宣言している事業者には加点措置があります。

  • 給与⽀給総額を年率平均2(または3)%以上増加させる
  • 事業場内最低賃⾦を地域別最低賃⾦+60円(または+90円)以上の⽔準にする

また、「働き方改革」においても、被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が、制度改革に先立ち任意適用して、短時間労働者を厚生年金に加入させる場合は、給与⽀給総額の伸びが年率平均1%以上増加でもよいという優遇措置があります。

#3.災害等対策加点

ものづくり補助金の審査は、以下の3つの災害等対策において優遇措置が取られることが確認されています。

  1. 令和元年度台⾵15号及び台⾵19号等の被災事業者(激甚災害指定地域に所在する者に限る)
  2. 事業継続⼒強化計画の認定を取得した(取得予定の)事業者
  3. 新型感染症の影響を受けて、サプライチェーンの毀損等に対応するための設備投資等に取り組む事業者

熱意と意気込みアピール

2020年以降のものづくり補助金の申請プロセスの大きな特徴は、すべて電子ファイルで申請・審査が行われるという点です。(まれに、必要に応じてヒアリングが行われる場合もあります。)

2020年より、申請添付書類が大幅に削減され、最⼤16点(必須6点)だった申請書類が、最⼤8点(必須3点)となりました。

それほど重要でない書類の提出が減ったのは、申請の手間を考えると大歓迎ですが、裏を返せば、アピールのために用いられる書類も減ったということです。

公庫や金融機関の融資の際のように、最後は面談で経営者の熱意を直接示して融資獲得を目指すという戦略を採れません。

ですから、すべての熱意や意気込みを電子書類上で示せるよう、事業の価値を分かりやすく、熱く語れるようストーリー作りを綿密に設計しましょう。

3.新型感染症関連での特例措置

新型感染症による影響を受けている事業者については、以下の3つの特例措置・優遇措置があります。

  1. 審査加点措置・申請要件緩和
  2. 数値目標達成期間の先送り
  3. 事前着手の承認

それぞれを説明します。

中小企業が活用できる、新型感染症対策への他の補助金・助成金・優遇融資についての記事でまとめています。

審査加点措置・申請要件緩和

新型感染症の影響を受けて、サプライチェーンの毀損等に対応するための設備投資等を行う事業者を加点措置や申請要件緩和等によって優先的に支援します。

数値目標達成期間の先送り

今年度に新型感染症の影響を受けることを想定される事業者は、賃上げ及び付加価値額増加の目標を据え置きし、その翌年度
から3~5年
の間に目標値を達成する計画にできます。

事前着手の承認

新型感染症でダメージを受けたサプライチェーンを復興させるための設備投資等である場合に限り、補助金交付決定日以降ではなく、事前着手の承認日以降から発注等を行うことができます。

  • 事前着手申請受付期間‥2020年3月31日(火)~4月13日(月)17時まで(必着)
  • 提出方法‥本補助金の交付を受けるための電子申請とは別に、事前着手の承認のための申請書類を作成して郵送にて提出してください。
    封筒には、「事前着手の承認申請」であることが分かるよう明記しましょう。
  • 送付先‥〒104-0033
    東京都中央区新川1-26-2 新川NSビル6F
    全国中小企業団体中央会 ものづくり補助金事業部
  • 注意点1‥事前着手の承認可否と補助金採択の可否は別個に審査されるので、事前着手の承認が得られた場合でも、本補助金の交付が採択されるとは限りません

まとめ

ものづくり補助金の制度概要から、申請の際のポイントまで網羅して説明してきました。

補助金の王様とも呼ばれるだけあって、意外に幅広い分野で活用できますし、補助金額も最大1,000万円と大きいのが魅力です。

経営革新計画と結びつければ、補助率をアップさせることができますし、小規模事業者であっても補助率をアップできるので、中小企業の経営者であれば必ずおさえておきたい補助金です。

毎年少しずつ制度はアップデートされますが、いまのところ制度がなくなることはなさそうですのでこの機会にぜひ一度検討してみてください。

中小企業のITツール導入にスポットをあてたIT導入補助金についての詳細の記事を参考にしてください。

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