経営革新計画完全マニュアル 制度概要、メリットをすべて公開

中小企業にとって融資調達補助金獲得販路開拓は大切な命綱です。

昔のように、中小企業というだけで行政の補助金や助成金を簡単に獲得できる時代ではなくなりました。

現在の国の制度は、やる気のある中小企業を選択し集中して支援するという方針になっています。

やる気のある中小企業を選別するために導入されたのが、「経営革新計画」です。

経営革新計画が国や都道府県に承認されれば、「やる気のある中小企業」とみなされます。

国や都道府県のお墨付きの中小企業になることで、融資調達、補助金獲得、販路開拓への道が大きく開けるのです。

中小企業の経営者であれば経営革新計画を利用することをおすすめします。

この記事は経営革新計画の制度概要メリット申請方法、そして申請の際のポイントまで説明します。

この記事さえ読めば、経営革新計画のすべてがまるっと理解できます。

1.経営革新計画とは

経営革新計画とはどのような制度なのでしょうか?

誰が利用できるのでしょうか?

経営革新計画の制度概要について分かりやすく説明します。

(1)経営革新計画とは?

経営革新計画制度とは、新商品の開発や新たなサービスに取り組む中小企業3年から5年の経営計画を都道府県に申請して承認されることにより、さまざまな支援措置を受けやすくなる制度です。

「中小企業等経営強化法」、「中小企業新事業活動促進法」という法律に基づく、強力な中小企業支援施策の1つです。

事業計画はどの中小企業であろうと持っているでしょう。

しかし、経営革新計画は法律に基づくものですので、記載すべき内容などの様式が決められています。

と言っても、決して難しいことが求められているわけではありません。

「革新」という単語が示しているとおり、新しいことを始めようとする計画であれば承認を得ることができます。

経営革新計画が承認されると、その中小企業の経営計画は確実に事業を発展させる計画であると評価されます。

つまり、都道府県知事や国のお墨付きをいただいたということです。

お墨付きを得ることにより、政府系金融機関などによる低利融資、信用保証協会の保証枠の拡大など、計画実行のために、さまざまな支援策の利用申込みができるようになります。

(2)経営革新計画は誰が申し込めるの?

経営革新計画は、基本的にすべての業種の中小企業が申請できます。

単独の企業だけでなく、任意グループ、組合などの連携体制での申請も可能です。

業種によって中小企業の範囲は異なります。

例えば、小売業では、資本金が5000万円以下、または従業員の人数が50人以下であれば、法律上の中小企業として扱われます。

ただし、創業して間もない企業やこれから創業をする方については経営革新計画の対象外です。

なぜなら、原則として最低1回は決算をして確定申告を終えていることが申請要件に含まれているからです。

ただし、創業して間もない企業であっても、営業報告書、貸借対照表、事業内容の概要などを提出できる場合は申請できる場合がありますので、詳細は提出を行う都道府県で相談してみましょう。

そして、最も重要な申請の要件は、その中小企業が、新商品や新サービスといった新しい事業活動を行う計画があるということです。

そして、その新しい事業活動において、付加価値や経常利益といった経営状態の指標の数値目標を立てていることです。

もちろん、その数値目標は明確で達成可能なものでないといけません。

新しい事業活動とは何なのか?数値目標とは具体的にはどのようなものか?という疑問については、後ほど申請の際のポイントの中で説明します。

2.経営革新計画が承認された際のメリット

経営革新計画が承認されると、大きく分けて以下の4つのメリットがあります。

  1. 保証・融資、税で優遇を受けられる
  2. 補助金獲得で優遇される
  3. 新たな販路を開拓できる
  4. その他のメリット

それぞれのメリットについて具体例を盛り込みながら説明していきます。

(1)保証・融資で優遇を受けられる

経営革新計画が承認されると、公的支援として政府系金融機関で特別低金利の優遇を受けることができるなど、必要な資金の調達が容易になります。

例えば次のような優遇制度があります。

#1.日本政策金融公庫の低金利融資

政府系金融機関である日本政策金融公庫で融資を受ける際、経営革新計画の承認を受けている中小企業は、基準金利より約0.9%も低減できます。

例えば、利率2.5%で通常融資を受けている場合、 0.9%の低減で1.6%の低利子で融資を受けることができます。

加えて、貸付限度額のアップ保証人や担保の免除返済据え置き期間が長期に優遇設定されるなどの優遇制度もあります。

#2.小規模企業設備資金貸付制度の特例

小規模企業設備資金貸付制度とは、必要な設備の購入代金の一部を無利子で貸付ける制度です。

経営革新計画の承認を受けると、無利子貸付割合が3分の2に増額されるなど、優遇された特例が適用されます。

#3.金融機関信用保証の特例

中小企業が金融機関から融資を受ける際には信用保証協会による保証が必要です。

経営革新計画の承認を受けると、普通保証や無担保保証の別枠設定や、貸付限度額引き上げなどの特例を受けることができます。

#4.高度化融資制度の優遇

高度化融資制度とは、中小企業が共同で高価な設備を購入したり、商店街にアーケードを設置するといった事業に対し、都道府県が長期・低利で融資を行う制度です。

経営革新計画の承認を受けた組合などは、この融資を無利子で受けることができます。

#5.自治体の制度融資

多くの自治体は信用保証料や利子の一部を補助してくれる制度融資を持っています。

自治体の制度融資は金融機関より有利な条件で借りられることが多いです。

経営革新計画の承認を受けていることが前提の融資もありますし、各種融資要件が優遇されることもあります。

(2)助成金、補助金、税金で支援を受けられる

経営革新計画が承認されると、自治体の補助金や助成金において優遇され、税金の軽減措置を受けることができます。

例えば次のような優遇制度があります。

#1.特許関係料金減免制度

経営革新計画における技術に関する研究開発について、審査請求料や特許料(第1年~第3年分)が半額になります。

特許の審査請求料は、通常の場合約15万円のコストが発生します。

また、特許料は特許を維持するために毎年発生するコストです。

これらが半額に軽減されるというのは、中小企業にとって無視できないメリットです。

#2.法人税の税額控除

経営革新計画を承認された企業については、設備投資に費やした金額に応じて税額控除を受けることができます。

具体的には、1台の取得価額が280万円以上の機械・装置を対象に、取得価格の7%の税額控除を受けることができるというものです。

例えば、取得価額1,000万円の機械を購入した場合は下記のように、70万円の税額控除を受けられます。
控除税額 = 1,000万円 × 7% =70万円

#3.特別償却の適用

経営革新計画を承認された企業の設備投資について、通常の減価償却費の他に、特別減価償却費を損金に算入できる優遇規定があります。

具体的には、機械、装置を取得した事業年度は「取得価額×30%」を特別償却できます。

取得価額2,000万円の機械を購入した場合は、下記の特別償却額を損金に算入して、早期償却することが可能になります。

特別償却額=2,000万円×30%=600万円

#4.補助金、助成金を申請できる、または審査の際に加点される

経営革新計画を承認された企業しか受けることのできない補助金事業や、経営革新計画を承認されることが審査の加点となる補助金事業があります。

例えば、東京都の市場開拓助成事業は経営革新計画を承認された企業のために設置された補助事業です。

また、「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金ものづくり・商業・サービス革新補助金」は、経営革新計画の承認を受けていれば、審査の際の加点対象になります。

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2019.04.15

#5.新たな販路の開拓

経営革新計画を承認された企業は、東京と大阪で行われる中小企業総合展(新価値総合展)の出展審査で加点対象になります。

また、中小企業基盤整備機構(通称中小機構)が行う販路開拓コーディネート事業は、大きなマーケットである首都圏、または近畿圏の市場での新商品テストマーケティング をサポートしてくれます。

また、海外展開にあたり、現地通貨での融資を受けやすいよう信用状を発行するなどの優遇施策もあります。
その他のメリット

経営革新計画の承認を得ることで、各都道府県のホームページで会社紹介がされるというメリットもあります。

実際に、大阪府のホームページを見た大手商社から引き合いがあった中小企業の実例もあります。

さらに、「都道府県知事の承認を受けた企業」ということで、取引先などの対外信用力をアップさせることもできます。

また、経営革新計画の承認を受けるために事業計画を作成する過程で、自社の現状を整理できます。

そして、作成した計画を振り返りながら経営することで、PDCA(計画―実行―評価―改善)サイクルを全社的に導入できます。

3.経営革新計画の申請ポイント

経営革新計画の申請から承認に向けての基本的な流れ、そして申請で重視されるポイントを説明していきます。

(1)基本的な申請手順

都道府県によって経営革新計画の流れは一部異なります。

ここでは東京都の一般的な流れを紹介します。

①申請対象や要件の確認

まず、要件をしっかり、各都道府県の担当部署で確認しましょう。

多くの都道府県では申請をサポートする産業支援機関を設置しています。

事前に産業支援機関に相談することで、計画承認に向けてスムーズに進みますし、計画承認後も継続的に支援を受けることができるため、計画の実現可能性も高まります。

②申請書の作成・提出書類の準備

申請書の様式、必要書類を確認しましょう。

都道府県によって申請書の様式が異なります

詳細は申込先の都道府県の窓口や、上記の産業支援機関にお問い合わせください。

③申請書の提出

申請窓口に必要書類を提出しましょう。

④申請書の修正

担当者と話し合いながら、もし必要なら申請書の修正を行っていきましょう。

⑤申請書の再提出

③-⑤を必要に応じて繰り返します。

⑥申請書の受理

⑦審査会(書類審査)

⑧結果通知

東京都では、申請書が受理された月の翌々月の初旬頃に結果が通知されます。

都道府県によって承認までの期間は異なります。

(2)申請で重視されるポイント

経営革新計画の申請の際に重視されるポイントは下記の4つです。

  1. 新しい事業活動であること
  2. 経営指標による目標が明確なこと
  3. 事業の革新性
  4. 事業の実現可能性

1つずつ説明していきます。

#1.新しい事業活動であること

経営革新計画で計画する新規事業は以下の4つのどれかに当てはまらなければなりません。

  1. 新商品の開発、または生産
  2. 新役務(サービス)の開発、または提供
  3. 商品の新たな生産、または販売の方式の導入
  4. 役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動

#2.経営指標による目標が明確なこと

経営革新計画の期間は3年、4年、5年の3つです。

それぞれの年数に応じて達成すべき下記の目標数値をパスする事業計画を作る必要があります。

計画終了時 付加価値額、または従業員一人当
り付加価値額の伸び率
経常利益の伸び率
3年計画の場合 9%以上 3%以上(かつ黒字)
4年計画の場合 12%以上 4%以上(かつ黒字)
5年計画の場合 15%以上 5%以上(かつ黒字)

上記の表で付加価値額は下記の計算式で求められます。

付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

同じく経常利益は下記の計算式で求められます。

経常利益=営業利益-営業外費用

#3.事業の革新性

経営革新事業と既存事業には明快な相違点がなければなりません。

少なくとも、同一商圏内で類似した商品の販売やサービスがない事業が、革新性があるとみなされる場合が多いです。

あくまでも、個々の会社にとって新規の事業かどうかという点が重視されますので、既に他社においては採用されている技術・方式であっても、個々の中小企業にとって新たな取組であれば、 原則として対象になります。

ただし、かなりの程度同業種で既に普及している事業であるとみなされた場合には、申請ができないことがあります。

#4.事業の実現可能性

当然ですが、いくら革新的な事業でもアイディア倒れに終わってしまわないように実現可能性が求められます。

例えば、自社で持っている既存技術の活用が見込めたり、既にテストマーケティングを実施して良好な見通しを得ているなど、具体的な補強材料を持っていると申請の際に高評価です。

まとめ

経営革新計画は中小企業にとってはほとんどメリットしかありません

資金調達、補助金獲得、販路獲得などで大きなメリットをもたらしますから、経営者であれば知っておいて損はない制度です。

法律に基づいた申請書の様式は少し面倒に感じるかもしれませんが、経営革新計画に申請するかどうかに関わりなく、しっかりとした事業計画を立てることは重要です。

また、新事業を考えることは、将来の会社の発展にいつでも必要です。

これを機会に経営革新計画について検討してみてはいかがでしょうか。

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