新創業融資はこんなに使える!初めての方でも全部わかる最新制度ガイド

起業を決めて、思い切ってサラリーマンを辞めたものの、いざ起業となると頭を悩ませるのは、なんといっても創業資金調達です。

銀行などの民間金融機関に頼ろうにも、まだ何も実績のない会社、または法人でさえない個人事業主では、いきなり銀行に融資を受けることは難しいのが現実。

創業資金を十分に確保しなければ、売上も利益も確保出来ません。

最悪の場合には資金ショートにより、せっかくの事業をあきらめてしまう結果になりかねません。

そうならないためにも、公的金融機関から融資を獲得することをお勧めします。

今回は起業家向けの、公的金融機関の融資制度である「新創業融資制度」についてご紹介します。

この記事を読めば、すべての起業者におすすめの新創業融資の制度概要要件を緩和するテクニック審査を通す戦略まですべてが分かります!

お忙しい方のために新創業融資について45秒動画にまとめました

Stock footage provided by Videvo, downloaded from https://www.videvo.net

1.新創業融資とは

新創業融資は、政府系金融機関である日本政策金融公庫からの融資です。

日本政策金融公庫は新しい産業を生むための政策として、積極的に起業家への融資に取り組んでいます。

民間銀行は、貸し倒れリスクを恐れて企業の安全性を重視するので、起業資金の融資には消極的です。

一方、日本政策金融公庫は、企業の成長性を重視して積極的に起業資金を融資してくれるので起業家の大きな味方です。

そんな、日本政策金融公庫の新創業融資の制度について分かりやすく解説します。

(1)誰が使えるの?

まず最も重要なのが、自分や自分の会社は対象になるのか?という点です。

新創業融資を受けるには下記3つの基本的な要件があります。

  1. 創業の要件
  2. 雇用創出、業種等の要件
  3. 自己資金要件

それぞれの要件について分かりやすく説明します。

#1.融資を受けられるのは創業2年以内

日本政策金融公庫の融資条件の説明には下記のように記載されています。

新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方

引用元はこちら

「創業」という名前がつくとおり、新創業融資は起業のため、または起業して間もない会社や個人事業主を対象とした融資です。

まだ、開業前の場合は、融資を受けるためにしっかりした事業計画書の作成が必要になります。

逆に言えば、決算書を出さなくても融資を受けられる可能性があるということです。

一般の銀行で会社の決算書なしで融資を受けることはかなり困難です。

要件の「税務申告を2期終えていない方」とは、ざっくり言えば開業して最大2年以内ということです。

ここは重要なポイントです。

創業融資と言いながら、実は開業後2年近く融資を受けるチャンスがあるのです。

勢いで開業にたどり着いたものの、初年度の真っ赤な決算を目の前にしてお先真っ暗!なんてことは起業あるあるです。

新創業融資は開業して1年経ったあとでも、まだ融資を受けるチャンスがあります。

もちろん、赤字が大きすぎる決算書で、将来も好転する見通しがないような事業では融資は難しいですが。

融資を受ける際に考慮される事業開始日付で一つ注意点。

この日付は登記申請や開業届の提出日ではありません

実質的に事業が始まった日付です。

会社の設立届であれば「営業開始日」として記載している日が事業を開始した日です。

個人事業主の開業届であれば「事業の開始日」が事業を開始した日です。

事業開始日と初回の税務申告のタイミングによっては、融資を受けられる「2期目の税務申告」までの期間が実質2年ないこともあるのでご注意ください。

#2.雇用の創出と起業する業種

次の要件は雇用の創出と起業する業種です。

まずは日本政策金融公庫の説明を引用します。

  • 雇用の創出を伴う事業を始める方
  • 技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方
  • 現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方

(1)現在の企業に継続して6年以上お勤めの方

(2)現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方

  • 大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方
  • 産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方
  • 地域創業促進支援事業又は潜在的創業者掘り起こし事業の認定創業スクールによる支援を受けて事業を始める方
  • 公庫が参加する地域の創業支援ネットワークから支援を受けて事業を始める方
  • 民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方

引用元はこちら

簡単にまとめると下記の3要件です。

  1. 従業員を雇用する開業
  2. ニーズがあり、差別化された技術やサービスでの開業
  3. 過去長く勤めた業種と同じ業種での開業がある

要件1で、1人起業では融資対象外になりますが、正社員に限らずアルバイトやパートを雇用する予定があれば審査に通った実績があります。

要件2については、要するに将来的な見込みがある業種でないとダメということです。

起業をされる方であれば、当然将来性のある業種を選ぶはずなので問題ないと思います。

要件3は、要するに経営者がその分野で知識や経験を持っていないとダメということです。

起業をされる方であれば、当然知識や経験のある業種を選ぶはずなので問題ないと思います。

もし、前職と関係性が薄いように見える分野での起業であれば、見通しがしっかりした事業計画書の提示が必要になります。

#3.自己資金要件

自己資金に関する要件ですが、これもまずは日本政策金融公庫の説明を引用します。

新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方

引用元はこちら

はっきり10分の1という数字で自己資金率のガイドラインが示されています。

これから開業する方、1期目の決算をまだ終えていない方は開業資金の10%以上の自己資金がないと融資申し込みができません。

逆を言えば、1期目の決算後は10%以下の自己資金でもいいことになります。

ただし、その場合は1期目の営業実績をじっくり審査されます。

創業1期目の決算は赤字になる場合も多いので、新創業融資を検討するタイミングはよく考える必要があります。

実は、上記の要件にはいくつか裏道(?)で要件クリアする方法があります。

次に少し説明します。

#4.要件の裏道(?)

裏道といっても後ろ暗い方法ではありません。

日本政策金融公庫のHPにも注記で説明されています。

例えば、多くの市区町村で「創業塾」や「創業セミナー」などの講座が行われています。

それらの講座を修了して証明書を持っている場合には、自己資金などの要件が緩和、または要件クリアになります。

興味ある方はお近くの自治体窓口やHPで確認してみてください。

また、民間の金融機関から既に融資を受けることができている場合も要件緩和となります。

銀行に融資を受けられるのであれば、公庫に融資相談をする必要はないかもしれません

しかし、もし銀行の融資額では足りず、追加資金が必要な場合は考えてみる価値があります。

そして、もう一点、1,000万円以内の融資希望であれば申し込み要件が大幅に緩和されます。

その場合は、従業員を雇わずにすみますし、市区町村の創業塾を修了する必要もありません。

また、1,000万以下の融資であれば、その後の審査の基準も比較的緩やかになるケースが多く見られます。

他にも、現在働いている業種と同じ業種で起業する方の場合は、自己資金の要件が不要になるケースもあります。

(2)融資限度額

融資限度額は3,000万円(うち運転資金1,500万円)です。

最大限度額まで融資されることは厳しいかもしれませんが、後で触れるスピード融資というメリットをあわせて考えると、この金額は魅力的です。

(3)担保・保証

原則不要です。

なお、法人の場合で代表者が連帯保証人となる場合は利率が0.1%低減されます。

(4)返済期間

「各種融資制度で定める返済期間」というのが公式回答です。

引用元はこちら

実は新創業融資は、日本政策金融公庫の他の融資の追加措置として特例で盛り込まれた制度です。

例えば、日本政策金融公庫には「新規開業資金」という別の融資制度があります。

この新規開業資金は、開業後7年以内であれば利用ができます。

しかし、こちらの制度は担保、保証人が必要です。

そのため、新規開業資金の制度利用者の中で、今から開業する人、または、開業後2年未満で、かつ、担保や保証人の設定が困難な方のために追加されたのが新創業融資の制度です。

なので、新規開業資金の制度と併用して新創業融資を申し込む場合は、返済期間も新規開業資金の制度が適用されます。

その場合は返済期間は下記です。

設備資金 20年以内(うち、据置き期間2年以内)
運転資金 7年以内(うち、据置き期間2年以内)

最長2年の返済据え置きがあるのは資金繰りの厳しい創業期には助かります。

最も多い併用ケースは新規開業資金制度と新創業融資の併用です。

(5)利率

個別事情によって変動しますが、現在(平成31年4月)の利率は年2.5~2.9%ほどです。

新創業融資制度は無担保・無保証である分、日本政策金融公庫の他の融資よりも少し金利が高く設定されています。

(6)制度特徴まとめ

新創業融資の制度の特長を表にしました。

利用できる対象 下記3要件全てに当てはまる人

  1. 新たに事業を始める、または事業開始後税務申告を2期終えていない
  2. 従業員を雇用し、将来性のある業種で、過去勤めた業種と同じ業種での開業
  3. 自己資金10%以上※ただし各項緩和要件あり
融資限度額 3,000万円(うち運転資金1,500万円)
返済期間 設備資金 20年以内(うち、据置き期間2年以内)

運転資金 7年以内(うち、据置き期間2年以内)

*「新規開業資金」と合わせて利用する場合

金利年率 2.5~2.9%

平成31年4月現在

担保・保証人 原則不要
資金の使いみち 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金

 

2.新創業融資のメリット

新創業融資のメリットは大きく分けて下記4つです。

  1. 無担保・無保証・連帯保証人が不要
  2. 融資実行までが早い
  3. 融資金額が大きい
  4. 自己資金割合の要件が緩い

それぞれのメリットを分かりやすく説明します。

(1)無担保・無保証・連帯保証人が不要

担保不要、しかも保証人も不要で融資の可能性があるのはすごいことです。

政府系金融機関でなければ、創業時で実績がなにもない事業への融資はかなりハードルが高いでしょう。

加えて、一般銀行では融資の際に経営者本人が連帯保証人になるのが常識です。

新創業融資では経営者本人が連帯保証人になる必要もありません

ですから、万一事業が失敗しても経営者個人が返済の責務を負うことはありません

(2)融資実行までが早い

新創業融資制度は、自治体の起業者向けの創業融資と比較すると審査期間が非常に短いです。

審査に問題がなければ、申込みからわずか1ヶ月ほどで融資実行にたどりつきます。

創業時の物要りな時期にはうれしいスピードです。

(3)融資金額が大きい

最大融資額3,000万円という新創業融資制度は、自治体の起業者向けの創業融資と比較すると融資金額が大きいです。

自治体の制度融資は、自治体ごとの資金量が限られているので融資額が低くなりがちです。

民間の金融機関で、これだけの融資額を起業時に融資してくれる金融機関はほぼないでしょう。

加えて、1,000万までの融資であれば、申し込み要件も緩和されますし、融資の際の審査基準が比較的緩くなるという実例もあります。

(4)自己資金割合の要件が緩い

一般的な融資と比べて、新創業融資の自己資金要件は高くありません。

自治体の起業者向け制度融資は50%の自己資金、つまり創業資金の半分の自己資金を求める場合がほとんどです。

新創業融資制度の10%という自己資金割合は比較的緩い条件であると言えます。

2.新創業融資のデメリット

メリットだらけのように見える新創業融資ですが、下記のデメリットもあります。

  1. 通常融資に比べて年間金利が高い
  2. 審査が厳しい

それぞれのデメリットを分かりやすく説明します。

(1)通常融資に比べて年間金利が高い

制度の説明の部分でも触れましたが、新創業融資の現在(平成31年4月)の利率は年2.5~2.9%ほどです。

無担保・無保証である分、日本政策金融公庫の他の融資よりも少し金利が高く設定されています。

例えば、おなじ日本政策金融公庫の新規開業資金制度で担保を設定する場合は、現在(平成31年4月)の利率は年1.16~2.15%です。

それでも、民間の銀行であれば金利年5%ほどが相場ですし、新規開業時に融資を受けること自体困難です。

それに比べれば、創業時に受けられる融資の中で新創業融資の金利は有利といえます。

加えて、ほとんどの地方自治体の起業者向け制度融資では信用保証協会の保証が必要になり、保証料が発生します。

新創業融資は保証人不要なので信用保証協会の保証料も不要です。

(2)審査が厳しい

新創業融資制度は、今までの実績がない起業者のための融資という性格上、融資の基準は高めと言われています。

また、無担保、無保証という新創業融資制度の特徴も、審査を厳しくせざるを得ない要因となっています。

申し込みさえすれば誰でも融資が行われるわけではないのは事実です。

また、3,000万円の融資最大可能額を得られるケースは少ないようです。

ただし、融資希望額が1,000万以下の場合は審査の基準がかなり緩くなるという実例も多く見られます。

さらに、新創業融資は、起業者をサポートするという政府の政策で始められた経緯があります。

政府の思惑としても、無保証の起業者の新規開業を資金面でサポートする動きがあります。

公的な融資制度としては実際に使用されている実績件数も多く、今後、3,000万円の最大融資額でも、審査のハードルが下がっていくことが期待されます。

3.審査のポイント

では、一般に厳しいと言われる新創業融資の審査を通過するにはどんな戦略が必要でしょうか?

下記3ステップで説明します。

  1. 自己資金の確保
  2. 事業計画書の作り込み
  3. 経営者のキャリア、資質

それぞれのステップについて説明していきます。

(1)自己資金の確保

先程触れたように、新創業融資制度の10%という自己資金割合は比較的緩い条件です。

しかし、10%の自己資金があれば審査を確実にパスするという意味ではありません。

自己資金率が高いほど審査の際に有利なのは確かです。

実際に新創業融資の審査を通過したケースの多くでは、融資希望額の30%の自己資金を準備していました。

融資希望額が大きい場合には、特に高い自己資金率が求められます。

まずは自己資金を銀行口座にプールしましょう。

(2)事業計画書の作り込み

審査官が事業計画をチェックする時、将来的に実現性の高い計画となっているかを念入りにチェックします。

つまりは、借入金を確実に返済できるかどうかです。

例えば、下記のような質問に経営者が説得力ある回答を示す必要があります。

  • 事業計画書で見込み利益はどのように推移していますか?
  • 見込み利益は妥当な数字ですか?
  • 見込み利益は月々の返済額を上回る予定ですか?

融資審査のプロである審査官相手ですから、民間のコンサルタントに事業計画の作成を依頼する経営者の方もいるでしょう。

外注であっても、作成した事業計画について明確に理解しておきましょう。

(3)経営者のキャリア、資質

新創業融資の審査を受ける際には、経営者自身のキャリアや資質が重要ポイントです。

起業ですので、経営者としての過去の実績がない方がほとんどだからです。

なので審査官は、申請する起業者の会社員だった時代の経験や、過去のお金関連の行動を厳しくチェックします。

例えば、下記のようなチェックが入るかもしれません。

  • 起業する業種に関連する経験を、会社員時代にどれくらい経験してきたか?
  • 経営者個人の個人信用情報はしっかりしたものでしょうか?
  • 税金、水道光熱費、携帯電話代などを延滞することなく支払っているでしょうか?

このような情報は、事業計画書や預金通帳を見ればすぐに分かります

経営者であるからにはお金にだらしないことは絶対にNGです。

経験も知識もまったくない業種で新創業融資を得ることもまず不可能です。

逆に言えば、審査の際の面接は経営者の資質やキャリアをアピールするチャンスです。

審査官の中には意地悪とも思える質問も投げかけてくる方もおられるようです。

例えば、「この業種不景気なんでしょ?2年後のこの見込み利益は甘すぎじゃない?」などと聞いてくる審査官もいるかもしれません。

そのような質問にも、落ち着いて、確信のこもった明晰な答えを返せれば、経営者としての適性や資質をアピールする格好の機会となります。

まとめ

日本政策金融公庫の新創業融資制度は、審査のハードルが少し高いという難点はあります。

しかし、無担保・無保証であること、融資限度額が高いという、実績のない起業者にとってたいへん魅力的な特長があります。

1,000万円までの融資であれば比較的審査のハードルが低いので、起業時の資金調達には、新創業融資制度も選択肢に入れることをぜひお勧めします。

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