
「パン屋を開業するにはどうすればいいの?」
「どのように集客をすればよいのかわからない」
「他のパン屋やベーカリーカフェと差別化を図るにはどうすればいいの?」
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朝食や昼食にパンを食べる人は多く、今後もパンを食べる人は増えると予測されます。
しかし、パン屋を開業しても、コンビニなどのライバル店との競争に勝てるのか心配になるのは当然のことです。
実は、開業検討時から開業資金の調達と開きたいお店のビジョンをしっかり持って、パン屋の鉄板集客手法であるポータルサイト、ブログ・ホームページ、Googleマイビジネスを連動させれば、上記のような不安を抱えて行き詰まる確率を下げられます。
立地や営業時間に関係なく、顧客の流れを店側で自由にコントロールできて、新商品が地域の共通の話題になるような集客失敗知らずの人気のパン屋を作り上げましょう。
マーケティングDXを支援するデジマチェーンが、パン屋を開業する方法、効果的な集客の方法、顧客の変化に応じた対応方法を5ステップで説明します。
目次
STEP1:パン屋開業に必要な手続き・資格・許認可
パン職人になるのに調理師免許や栄養士の資格は不要です。
パン職人になるにはパン製造技能士の国家資格を取得しておくことが望ましいですが、パン製造技能士の国家資格がなくてもパン職人になることは可能です。
パン屋の開業に必要な資格や許認可について説明します。
(1)パン屋の開業に必要な資格や許認可
パン屋の開業に必要な資格や許認可は、食品衛生法に基づく保健所の「菓子製造業許可」「飲食店営業許可」「食品衛生責任者」「食料品等販売業許可」などです。
どの許認可が必要になるのかは、製造するパンの種類や店舗の形態によって違ってきますし、許認可の基準は自治体によって違いがあります。
いずれの許認可も保健所が窓口になりますので、パン屋を開業する際には、管轄の保健所に必ず問い合わせてください。
なお、パン屋を開業するには、技術・経営ノウハウの習得、店舗探し、店舗準備を考えて、少なくとも1年は準備期間を見たほうがいいでしょう。
パン屋の開業に必要な資格や許認可一覧
資格・許認可 | 必須条件 | 問い合わせ先 | 備考 |
菓子製造業許可 | 菓子パンや食パンを焼く場合は必須 | 保健所 | 調理パンの製造(サンドウィッチなど)は不要の場合がある |
飲食店営業許可 | 調理パンを製造(サンドウィッチなど)、またはイートインで焼いたパンを提供する際は必須 | 保健所 | サンドイッチの販売はお弁当の販売と同じ扱いのため必須 自治体によっては、飲食店営業許可と菓子製造業許可の両方が必要な場合もある |
食品衛生責任者 | 必須 | 保健所 | 調理師免許などを持っている場合には講習が免除 |
食料品等販売業許可 | 仕入れたパンを売る際は必須 | 保健所 |
#1.菓子製造業許可
手作りの菓子パンや食パンなどを店頭で販売する際に必要になります。
サンドイッチなどの調理パンを店頭で販売する際には、菓子製造許可は不要にしている自治体もありますので、詳細は管轄の保健所に問い合わせてください。
#2.飲食店営業許可
サンドイッチなどの調理パンを店頭で販売する際に必要になります。
#3.食品衛生責任者
パン屋を開業する際には必須です。
講習を受けるだけで取得できます。
なお、調理師や栄養士、製菓衛生士の資格を持っている場合、講習は免除されます。
#4.食料品等販売業許可
仕入れたパンを店頭で販売するだけなら、食料品等販売業許可だけでよい場合があります。
(2)パン屋開業の一般的な開業手続き
一般的な開業手続きや届出は以下の表を参考にしてください。
パン屋の一般的な開業手続きや届出一覧
区分 | 手続き | 関係官公庁 |
個人 | 開業届と青色申告 | 税務署 |
法人 | 健康保険・厚生年金関連 | 社会保険事務所 |
法人 | 雇用保険関連 | 公共職業安定所 |
法人 | 労災保険関連 | 労働基準監督署 |
法人 | 税金(所得税、消費税) | 税務署 |
STEP2:パン屋の開業に必要な資金
どんな事業でも、開業に必要な資金の見通しがなければ、計画倒れに終わってしまいます。
パン屋を開業する際に必要な資金のモデル、そして活用できる可能性のある補助金、有利な融資について説明します。
(1)パン屋の開業資金は1000万円
パン屋開業には、物件を借りるタイプの開業で1,000万、移動店舗型の開業で300万が目安です。
以下の表は、店舗面積約15坪のパン屋を開業する場合の必要資金の概算です。
どこで、どのような物件を借りるかによって、店舗物件取得費などの初期投資額は大きく異なります。
東京都心だと、 物件を借りるタイプの開業で1,500万を超えることがあります。
店舗面積約15坪のパン屋を開業する場合の必要資金一覧
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項目 | 初期投資額 |
店舗物件取得費 | 約50万 |
内外装工事費 | 約450万 |
什器・備品等 | 約350万 |
仕入費用・広告宣伝費 | 約150万 |
合計 | 約1000万 *地域や個別ケースによって大きく異なります |
(2)開業資金調達に利用できる補助金・融資
パン屋の開業に必要なものを購入する資金の調達には、以下の2つの融資や補助金を使えるかもしれません。
- 新創業融資
- 小規模事業者持続化補助金
それぞれを説明します。
#1.銀行より有利な金利の新創業融資
市中銀行より有利な、日本政策金融公庫の新創業融資を利用できる可能性があります。
新創業融資は、政府系金融機関である日本政策金融公庫で、無担保・無保証・連帯保証人・スピード融資で融資を受けられる有利な融資制度です。
以下の記事で新創業融資について説明しています。
#2.返済義務のない小規模事業者持続化補助金
新規事業として開業を検討中であれば、返済義務のない小規模事業者持続化補助金を活用できるかもしれません。
以下の記事で小規模事業者持続化補助金について説明しています。
STEP3:パン屋のおすすめビジネスモデル
パン屋の運営方法として以下の表の3種類が挙げられ、メリット・デメリット・集客方法などが異なります。
特徴をまとめましたので、自分に合った運営形態を確認しましょう。
パン屋のおすすめビジネスモデル一覧表
運営形態 | メリット | デメリット | おすすめの集客方法 |
自己店舗型 |
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フランチャイズ型 |
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移動個人店舗型 |
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(1)理想のパン屋にできる自己店舗型
自己店舗型は好みの物件を借りて内外装工事をすることで、自分が思い描いているパン屋にすることができます。
販売するパンの種類や店舗デザインなどは自由に決めることができ、自由度が高い点が自己店舗型のメリットです。
しかし、初期の集客が難しく、集客方法を入念に検討して実践することが重要になってきます。
(2)有名ブランドの看板を利用できるフランチャイズ型
フランチャイズ型は、パン屋のフランチャイズチェーンに加盟することで、パン屋の経営ノウハウがなくても容易にパン屋を開業することができます。
仕入れルートの確立や商品開発などは本部のサポートを受けることができ、既存の有名ブランドの看板を利用できるので初期集客は容易です。
その反面、加盟金やロイヤルティーの支払いが必要になるため、手取り収入は少なくなります。
なお、パン屋のフランチャイズチェーンには、次のような代表的なものがあります。
#1.マーメイドベーカリーパートナーズ
マーメイドベーカリーパートナーズは、「リトルマーメイド」や「カフェデンマルク」などのパン屋のフランチャイズチェーンを運営しています。
物件の市場調査から開店後のフォローまでの全てを本部がサポートしてくれますので、どなたでもパン屋を開業することが可能になります。
#2.ブリオッシュドーレ
ブリオッシュドーレはフランスに約300店舗のネットワークを持つベーカリーカフェで、日本でも出店することが可能です。
フランスから直輸入した食材を使って、本場フランスのパンを製造販売できます。
#3.スワンベーカリー
スワンベーカリーはヤマトホールディングスの特例子会社で、マーメイドベーカリーパートナーズと同じ素材を使ってパンの製造販売ができます。
#4.あげぱん屋
あげぱん屋は昔懐かしい給食をテーマにしたテイクアウト専門店で、あげぱんを移動販売することができます。
(3)比較的容易に開業できる移動個人店舗型
移動個人店舗型は、ワゴン車などを改造して移動式の店舗にすることで、実店舗がなくてもパン屋を開業することができます。
初期費用や毎月のランニングコストを低く抑えられることがメリットです。
しかし、雨天や台風の時には営業することができず、天候によって売上が大きく左右される点がデメリットになります。
STEP4:パン屋におすすめの集客方法3選+2
「集客は足し算ではなく掛け算」ですから、集客方法を組み合わせて連動させれば、集客効果は何倍、何十倍にもなります。
逆に言えば、連動できない集客方法を組み合わせても足し算以上の効果は生まれないので注意が必要です。
パン屋には以下の集客方法の連動が特におすすめになります。
それぞれの方法について説明します。
(1)多くのユーザーの目に留まるポータルサイト
最近は、食べログやぐるなびなどのポータルサイトを利用してパン屋を探す人が増加中です。
ポータルサイトには、パン屋の概要や販売しているパンの写真、口コミ、ランキングなどが掲載されています。
ポータルサイトに登録すると、スマホやパソコンでパン屋を探している見込み顧客へのリーチにつながるのが魅力です。
ポータルサイトはSNSやホームページと連携させることで、相乗効果を発揮できます。
パン屋が登録できる主なポータルサイトとして、次のようなものがあります。
#1. 食べログ
食べログは多くのユーザーが利用しているグルメのポータルサイトです。
機能は制限されますが、無料でお店の情報を登録できますので登録しておくことをおすすめします。
#2.ぐるなび
ぐるなびも多くのユーザーが利用しているポータルサイトです。
ぐるなびも無料で登録することができます。
#3.エキテン
エキテンはさまざまな店舗のページを無料で作成することができ、パン屋の集客にもおすすめです。
#4.Retty(レッティ)
Retty(レッティ)は日本最大級の実名型グルメサービスで、質の高い口コミが掲載されています。
ユーザーは実名で口コミを投稿するため、いい加減な口コミが投稿されないことが特徴です。
#5.ホットペッパーグルメ
ホットペッパーグルメは有料プランのみで、無料で登録することはできません。
どちらかというと予約して訪れるレストラン用で、パン屋との相性はあまり良くないため、登録しなくても問題ありません。
(2)集客の中核になるブログ・ホームページ
ホームページはお店の看板になるだけでなく、あらゆる集客方法と連携ができるため、ネットを使った集客の中核にすることができます。
ポータルサイトにもホームページのリンクを貼って、見込み顧客をホームページに誘導しましょう。
また、InstagramやFacebook、TwitterなどのSNSとの連携も容易です。
ホームページやブログを開設しているとお店の信頼性が高まりますので、初めてのお客さまに安心感を与えられ、来店につながりやすくなります。
ホームページやブログの始め方・活用方法については、以下の記事でわかりやすく説明していますのでご覧ください。
(3)外出先でパン屋を探している人を集客できるGoogleマイビジネス
Googleマイビジネスは無料で登録することができ、Google検索の結果画面やGoogleマップに店舗情報や写真、口コミが載せられます。
外出先でパン屋を探している人は、Google検索やGoogleマップを利用して近くにあるパン屋を探すことが多いです。
Googleマイビジネスに登録しておくと、外出先でパン屋を探している人を新規顧客にすることが可能になります。
また、Googleマイビジネスは店舗の概要が一目瞭然でわかることが魅力です。
ホームページを開設するまではGoogleマイビジネスをホームページの代わりにすることも可能です。
ホームページを開設してからも、Googleマイビジネスとホームページを連携させられます。
Googleマイビジネスでお店を知った人に、より詳細な情報を提供しましょう。
Googleマイビジネスの始め方・活用方法については、以下の記事でわかりやすく説明していますのでご覧ください。
(4)他にもインスタグラム、口コミは集客実績あり
その他にも以下の集客手法は、パン屋と親和性が高いです。
あなたの事業ステージによっては大きな力を発揮してくれるでしょう。
#1.写真だけで集客ができるInstagram(インスタグラム)
20~30代の若い女性はInstagram(インスタグラム)を利用している人が多く、おしゃれなパン屋はInstagramで話題になっています。
Instagramはパンの写真を掲載するだけでも集客につなげることができ、見栄えがするパンの写真を掲載すると効果絶大です。
パンは文章だけで味覚を表現することが難しいので、視覚に訴えられるInstagramはパン屋に向いているSNSだといえます。
また、InstagramはTwitterやFacebookなどの他のSNSと連携することで相乗効果を発揮できます。
特に拡散力に優れたTwitterと連携することで、拡散力に劣るInstagramの弱点を補えます。
アカウントの登録はInstagramのアプリケーションで行えます。
インスタグラムの始め方・活用方法については、こちらの記事でわかりやすく説明していますのでご覧ください。
もしインスタグラム広告に関心がある場合は、こちらの記事も参考になるかもしれません。
#2.口コミは集客の基本
ネットを使った集客は大切ですが、昔ながらのリピーターによる口コミは集客の基本です。
美味しいパン屋があれば誰かに話したくなるものですし、会話のネタにもなります。
親しい友人から「○○のパンは美味しいよ!」と聞けば、一度食べてみようと思い、来店につながる可能性は非常に高いです。
しかし、小手先のテクニックだけでリピーターを獲得するのは難しく、本当に美味しいパンを作り続ける努力がリピーターの獲得につながります。
STEP5:最近のパンの顧客層は女性と高齢者
パンを1日に1回以上、食べている人は女性と高齢者に多く、最もよくパンを食べているのは50代以上の女性(主婦)という調査結果がありました。(引用元 Club BP)
最近は、スイーツのようなオシャレで美味しいパンが増えていることが、女性の顧客層の増加につながっています。
パン食に慣れ親しんだ年齢層がスライドしていることが、高齢者の顧客獲得につながっているようです。
この傾向は今後も続くと思われますので、パン屋を開業する際には、女性と高齢者に好まれそうなパンを提供することが集客のポイントになります。
もちろん、お店の近隣地域の人口分布、お店の前の道路を使うターゲット層とマッチしていることが前提です。
例えば、主婦層をメインターゲットに設定する場合、どのような戦略が望ましいでしょうか?
(1)主婦の購買動向に合わせて平日と週末で品揃えを調整する
主婦は平日の昼食にパンを食べることが多く、自分が食べたいパンを購入する傾向があります。
主婦はこってり系の惣菜パンよりも、デザート感覚の甘いパンや健康的なパンを好む傾向がありますので、平日は主婦が好みそうなパンを販売するとよいでしょう。
主婦は自分が昼食に食べたパンが美味しかったら家族に話して、夫や子供が食べるパンを土日に買い求めることが多いです。
土日の営業で家族全体の心をつかむと常連客にすることができます。
週末は平日よりもバラエティーに富んだ品揃えをすると、集客アップにつながる可能性が高いでしょう。
主婦の心をつかむためには競合店と比較して、顧客を呼び込める自店舗ならではの差別化戦略を打ち出すことも重要になります。
(2)捨てないパン屋に学ぶポリシーを持った差別化戦略
最近はスーパーやコンビニでパンを買う人が多く、パン屋を開業して成功するには、スーパーやコンビニとの差別化を図ることが不可欠です。
パン屋の差別化戦略の一例として、「捨てないパン屋」として脚光を浴びている広島のパン屋「ドリアン」が挙げられます。
パン業界では売れ残ったパンの廃棄処分が大きな問題になっていました。
廃棄処分を減らすことは、経営の健全化につながります。
また、廃棄処分を減らすことでパン1つあたりの価格を下げられますし、同価格であれば、より高品質の材料を使用できていいことばかりです。
「ドリアン」は、パンの廃棄処分をゼロにすることを目標に掲げました。
そして、廃棄処分ゼロのために行った工夫が、具材の見直し、無人販売、野菜移動販売への委託、定期購入サービスです。
その結果、この2年間はパンを1個も捨てることはなくなり、話題の「捨てないパン屋」としてニッポン放送のラジオ番組)にも取り上げられました。
パン屋を開業して成功するには、明確なポリシーを持った差別化戦略を立案して実践することが大切です。
まとめ
女性の社会進出や高齢者人口の増加で、朝食や昼食にパンを食べる人は増えており、今後もパンに対する需要は増大すると予想されます。
パン屋は時代のニーズに即しており、将来性は有望です。
しかし、スーパーやコンビニでパンを買う人も多く、スーパーやコンビニとの差別化を図ることが成功の鍵になります。
パン屋を開業して、スーパーやコンビニとの熾烈な競争に打ち勝つためには、集客力を強化することが不可欠であり、集客で大切なのは複数の集客方法を組み合わせ、相乗効果を狙うことです。
パン屋の鉄板の集客方法として紹介した口コミには抵抗がなくても、ブログ・ホームページ、Googleマイビジネス、インスタグラムなどのウェブ集客には苦手感を感じるという経営者も少なくありません。
しかしウェブ集客は少人数での内製運用が可能ですし、パン屋経営でも実績が証明されています。
ウェブ集客の運用に挑戦したい方は、ウェブ集客にスポットを当てた短期集中型のセミナーや講座に参加するのがおすすめです。
講座やセミナーのための時間や手間も惜しいという方は、ウェブ集客のノウハウが豊富な専門の事業者へ運用を代行してもらうことも可能でしょう。