広告主たちがAmazonにブランド認知とストーリーテリングの可能性を見出しているという。Amazonの広告ビジネスが成長し、検索広告の枠にとどまらず、動画などの様々な機能を実装することでFacebookとGoogleに対抗できる第三勢力となろうとしている。
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矢野経済研究所が2019年度の国内アフィリエイト市場規模は前年度比8.7%増の3133億円になると予想。クッキー制限やヤフーのアフィリエイトサイトの広告停止などネガティブ要因があったものの国内アフィリエイト市場は今後も拡大すると言われている。規制強化により違法サイトが追放されることは業界にとってはプラスの方向に向かうとの見解だ。
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Amazon 広告は、いまや「ブランディング」にも有効 : 「検索」広告だけじゃない
Amazonの広告ビジネスが成熟しはじめている。そんななか、広告主たちは同プラットフォーム上で、ブランド認知とストーリーの訴求を目指したキャンペーンをはじめている。
これまでペイドサーチ広告に重きを置いてきた広告主が方針を転換しつつあるのだ。サイト利用者が増えつづけ、滞在時間がますます伸びている現状を背景に、広告主はAmazonにブランド認知とストーリーテリングの可能性を見出している。そして、消費者の関心を惹くように設計されたアーンドメディアとペイドメディアの双方で、彼らのAmazonブランドページのコンテンツを構築するためにより多くの時間と労力を費やしている。
認知プラットフォームとして
広告主はここ数カ月、有料動画広告への関心を高めていると、アナリストは指摘する。こうしたタイプの広告は現在、Amazonのセルフサービス広告プラットフォーム(一部の広告主向け)およびOTT(オーバーザトップ)メディアの有料広告掲載を通じて利用できる。「一部のクライアントは、検討や認知といったファネルの段階に関して、Amazonで何ができるかを真剣に考えはじめている」と、マークル(Merkle)でAmazon広告オンライン販売担当シニアディレクターを務めるトッド・ボウマン氏はいう。「Amazonはますます動画のベータ版や動画機能を拡大し、OTTやストアページの充実を進めており、広告主はこれをブランド認知を高め、売上を伸ばすチャンスだと見込んでいる」。
広告主がAmazonをブランド認知とストーリーテリングの場と位置付けるこの変化は、ここ1年ほどのものだが、とりわけ過去数カ月で顕著になったと、エージェンシーのバイヤーはいう。「1年前からAmazonへのブランド認知関連の広告支出が見られるようになった。従来は地下鉄やバスの広告、野外大型広告に投入されてきた広告費が、Amazonにも流れるようになったのだ」と、ワンダーマン・トンプソン・コマース(Wunderman Thompson Commerce)でマーケットプレースサービス担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるエリック・ヘラー氏は語る。さらに同氏によれば、Amazonのサイト上で展開される認知向上キャンペーンは、売上データと関連づけできる点で独特だという。「認知プラットフォーム、あるいはローンチプラットフォームとして、ますます有力になってきている」。
エージェンシー担当者の見解
この話題は、米DIGIDAYが先日ニューヨークで開催したAmazon戦略に関するイベントでも大きな注目を浴びた。エージェンシーと小売企業の参加者たちはいずれも、Amazonが単なるコンバージョンファネルだった時代は過ぎ去ったと考えている。いまや企業は動画やストアページなどの広告機能を活用し、見込み顧客の発見と囲い込み(すなわち「ハンドレーザー」)を行って、ファネルの頂上の認知の部分を強化していると、アイクロッシング(iCrossing)でメディア担当アソシエイトディレクターを務めるエンリコ・ミラベリ氏はイベントで語った。検索広告の成功により、Amazonの広告ビジネスは大きく成長した。2019年第4四半期、Amazonは48億ドル(約5260億円)の売上を「その他」カテゴリーから得ていて、この大部分は広告事業からなる。前年同時期の34億ドル(約3730億円)から41%の増加だ。さらに、Amazonは広告主に(現在はほかのプラットフォームで展開されている)ブランド認知やストーリーテリングといったタイプの広告の可能性を売り込んでいる。
Amazonが広告機能を強化して、ファネルの低層にあるコンバージョン広告に限らない選択肢を提供しようとしていることは驚くにあたらない。Amazonの広告ビジネスが成長するにつれ、同社は検索広告の枠にとどまらないさまざまな機能を実装し、みずからをFacebookとGoogleに対抗する第三勢力と位置付けている。「Amazonは挑戦に本腰を入れていて、FacebookとGoogleのマーケティングコストが増大するなか、広告インベントリー(在庫)を拡充している」と、ボブスレッド・マーケティング(Bobsled Marketing)のCEO、キリ・マスターズ氏はいう。「(FacebookとGoogleの)クリック単価が上昇しつづけるなか、(Amazonが)インベントリーを充実させて、広告主に向けた選択肢を増やしているのは良いことだ」。
2019年度のアフィリエイト市場は8.7%増の3133億円、2023年度には4654億円に拡大と予想
矢野経済研究所は2月7日、国内アフィリエイト市場に関する調査結果を発表した。それによると、2019年度の国内アフィリエイト市場規模は前年度比8.7%増の3133億円になると予想。
国内アフィリエイト市場は今後も拡大するとしており、2023年度の国内アフィリエイト市場は4654億円にまで拡大すると予測している。
業種別にアフィリエイト市場をみると、金融分野、特に仮想通貨やロボアドバイザーなどの投資や資産運用に関する商材で市場が拡大。EC分野も大きく伸長しているほか、2019年のゴールデンウィークが通常より長期間だったことによる旅行分野、2019年10月の消費税増税前の駆け込み需要により家電分野が拡大したという。
販売手法をみると、単品商材を中心とした定期購入(サブスクリプションモデル)が増加するなど、単価の高い案件が増えており、アフィリエイト市場の拡大に寄与している。
アフィリエイトを取り巻く環境
外部環境に関しては、ITP(Intelligent Tracking Prevention:サイトトラッキングの抑止機能)によるクッキーの制限、Googleアルゴリズムのアップデートによる検索順位の変動、ヤフーのレギュレーション強化によるアフィリエイトサイトの広告出稿の厳格化など、アフィリエイトサイトにとってネガティブと考えられるレギュレーションの変更が行われた。広告出稿の厳格化に関しては、Facebookなどのソーシャルメディアにおいても、広告出稿専用アカウントの閉鎖といったレギュレーションの厳格化が図られるなど、アフィリエイトメディアに対してもネガティブなインパクトを与えている。
しかし、現状のプラットフォーマーによるレギュレーションの厳格化に関しては、景品表示法や薬機法などの法規制を順守しない一部のアフィリエイトパートナーや広告代理店に大きな影響を与えているものの、優良なアフィリエイトメディアや広告代理店においてはほとんど影響を受けていないという。
違法サイトが追放されるという観点においては、アフィリエイト業界にとってはプラスになるため、長い目で見ると決してネガティブ要因ではないとしている。